アーク溶接とは?
~溶接方法の分類と特徴を解説~
溶接は、モノづくりにおいて部材を接合する最も重要な技術の一つです。その中でも最も広く普及しているのがアーク溶接です。
本記事では、アーク溶接の基本原理から、代表的な種類とその特徴についてわかりやすく解説します。
アーク溶接の基本原理
アーク溶接とは、電力によって電極と母材(溶接する材料)との間にアーク放電を発生させ、
その高温の熱(約5,000℃~20,000℃)を利用して金属を溶かし、接合する溶接方法の総称です。
この熱により、母材と溶加材(溶接棒やワイヤ)が一瞬で溶融し、一体化されます。
アーク溶接は主に2種類に分類
アーク溶接は、アークを発生させるための電極が溶接中に溶けて消耗するかどうかで、以下の2種類に大別されます。
(1)電極消耗型(溶極式)
電極自体が溶けて溶加材となる溶接方法です。溶接ワイヤ(電極)が連続的に供給・消耗され、母材と共に溶融して接合部を形成します。
溶接速度が速く、連続溶接に適しています。
(2)非電極消耗型(非溶極式)
電極は溶けずにアーク発生源としてのみ機能し、別に用意した溶加棒や溶接ワイヤを熱で溶かして接合する溶接方法です。
電極(主にタングステン)が消耗しないため、アークが安定しやすく、高品質な溶接が可能です。

主なアーク溶接の種類と特徴
製造現場でよく用いられる代表的なアーク溶接の種類と、その特徴を図解で解説します。
(1)被覆アーク溶接(SMAW: Shielded Metal Arc Welding)電極消耗型
被覆アーク溶接は、溶接棒を使用する手溶接の代表格です。
溶接棒の心線が電極となり、棒の周りについている被覆材が燃えることでガスを発生させアークと溶融池を大気から保護(シールド)します。
設備がシンプルでコストも低いことと、可搬性が高く、屋外など風の影響を受ける場所でも作業が可能な汎用性の高い溶接法です。
ただし溶接後に残るスラグ(被覆材が溶けたカス)を除去する手間が発生します。

(2)ティグ溶接(TIG: Tungsten Inert Gas Welding)非電極消耗型
ティグ溶接は、シールドガスに不活性ガス(アルゴン・ヘリウムなど)を用い、タングステン電極を使用してアークを発生させます。
溶加材は必要に応じて別途供給されます。アークが安定し、スパッタが非常に少ないため、高品質で仕上がりが美しい溶接が可能です。
ステンレスやアルミニウムなどの非鉄金属の精密溶接に広く用いられます。

(3)ミグ溶(MIG: Metal Inert Gas Welding)電極消耗型
ミグ溶接は、消耗性のワイヤ電極とシールドガスに不活性ガス(アルゴンなど)のみを使用します。
ワイヤが連続的に供給されるため、高速溶接が可能です。スパッタが少なく、
アルミニウムや銅など非鉄金属の溶接に適しています。

(4)マグ溶接(MAG: Metal Active Gas Welding)電極消耗型
マグ溶接は、消耗性のワイヤ電極とシールドガスに炭酸ガスや混合ガス(アルゴン+炭酸ガスなど)を使用します。
シールドガスに活性ガス(Active Gas)を用いるため「MAG」と呼ばれます。
主に鉄系の溶接に使われ、溶け込みが深く、溶接コストも比較的安価なため、最も一般的に普及している量産向けの溶接です。

(5)プラズマ溶接(PAW: Plasma Arc Welding)非電極消耗型
プラズマ溶接は、アークをさらに細く絞り込んで高温・高エネルギーのプラズマ流として利用する溶接法です。
ティグ溶接よりもさらにエネルギー密度が高いため、高速かつ深い溶け込みが求められる高精度な溶接が可能です。

ちなみに・・・レーザー溶接はアーク溶接ではありません
高精度な溶接技術として「レーザー溶接(Laser Beam Welding: LBW)」も広く知られていますが、
これはアーク溶接とは異なる技術です。
レーザー溶接は、レーザー光のエネルギーを熱源として利用するビーム溶接の一種であり、アーク放電を熱源とする
アーク溶接とは、根本的な原理が異なります。
そのため、溶接技術の分類上も別系統として扱われます。
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